「世界を変える」に気をつけろ

ブログの力で世界を変える!  なんてことは考えていません。あしからず。

GREEは「世界を変える」か?

グリーは一体どこから道を間違え始めたのかという知られざる歴史まとめ

 

大変興味深い良記事。一番の見所は、田中社長の「顔」の変遷。

ほんとに人の内面は顔に表れる。

初期の「気のいいお兄ちゃん顔」から最近の「経営者顔」の写真まで一覧できる。

田中社長の顔の変化が、GREEという会社の変化を何よりも雄弁に物語っていると思う。

 

GREEがどうして変わったのか。

”つまり、この時点から田中氏自身がもう既に「アバターが面白い、収益もすごい」という状況を経験してしまっており、さらに信頼していたユーザーたちからの一斉の猛反発によって、ある意味、今までの「GREEの大切なユーザーたち」から「GREEを支えるだけのユーザーたち」という感じに意識内で変質してしまったのではないか?と思われます。実際にこの事件までの田中氏とそのあとの田中氏は言動がかなり違っており、事業の方針もそれまでの「ユーザーを大切にする」姿勢から一転、今ではアイテム課金のレア度によって度を超えて「ユーザーから搾取する」と言われているソーシャルゲームが栄える状況になっているわけなので、これまでのユーザーを大切にしていた田中氏からは考えられないことであり、ユーザーからの反発などの積み重なりが相当ショックだったらしいことがうかがえます。”

 

田中社長は喜んで昔のGREEを捨てたのではないし、良心の呵責も感じていた。

”事実、創業者である田中氏本人も2010年1月の時点ではまだわずかに「良心の呵責」とでも言うべきものを確かに感じていたことが以下の記事で分かります。田中氏も決して100%の守銭奴というわけではなく、やはり生きていくためにはお金が必要で、しかしあまりにも多くのものを得るためにそれ以上の何かを犠牲にしていることを自覚していることがはっきりと明示されています。

田中社長もネット業界人の1人。今のGREEは「必ずしも自分が使いたいものとして作っているわけではない」と認める。ただ「より多くの人に使ってもらえるものが、社会に影響を与える良いサービス」という信念のもと、マスに届くサービス作りを心がけているという。

 自分が使うためのサービスと、会社で提供するサービスのかい離。携帯電話からのネット利用の普及に伴い、「ネットユーザー」の意味が2004年と今とでは異なってきたことがその背景にあると、田中社長は分析する。

 「2004年当時はネットユーザーの規模が小さく、自分がユーザーの中央値に近かったが、どんどん中央値から外れてきたというのも、あるかもしれない。GREEは僕も楽しめるが、僕以上に楽しめる人がたくさんいるサービスにしないと、多くの人に使ってもらえるものにはならないと思う。業界にも受け、かつ、みんなが使っているサービスを作れればそれがベストだが、ネット業界の内輪受けを狙ってサービスを作っているわけではない」

必ずしも自分が使いたいものとして作っているわけではない」と認めている訳なので、決して田中氏は「儲かりさえすればそれでいい」という守銭奴とは違う人間であるという事は確かなのです。”

 

ご本人を知らないので何とも言えないけど、もし守銭奴でないのならば救いはある。もう十分儲かっているのだから、是非健全な方向に展開して欲しい。でもあれか。人間カネを手にすると変わるからなぁ。

 

そもそも最終的に何をしたいのかというビジョンが疑わしい。FacebookGoogleのように世界で成功する企業になりたいとか、世の中を変えたいとか語ってるけど、それが本当に目指すものなの?だとしたら寂しい限りじゃないか。世の中を変えるというのなら、今どんな問題があって、それをどのように変えて行こうとしているのかということを示す必要がある。ただ単にグローバル展開とか、世界を変えるとか掲げていればいいとか思ってるんじゃないかと疑ってしまう。生きて行くためにはお金が必要だから、それを否定する気は全くないが、初期に語っていた「面白いからやってます」という動機の方がよほど共感できるよ。

 

記者の結論はこのあたり。

”お金ではなく、より大きな目標である「全世界1億人ユーザー」という野望にとりつかれて迷走したあげくの果てが、これまでの「グリー」なのです。

しかし、田中良和氏自身が間違ったわけではありません。結果的には間違っていますが、創業者である彼自身ですらもはや「グリー」を正しくコントロールできなくなってしまっており、逆に創業者自身も「グリー」にコントロールされてしまっている、それが今までの「グリー」なのです。”

 

ご指摘の通り、「一億人ユーザー」という野望がいけない。一億人いたらどうなの?一億人ユーザーが集まれば世界は変わるの?より良い世の中になるの?戦争はなくなるの?貧困は解決するの?孤独は?疾病は?格差は?一億ユーザーという数字が目的化してる時点で終わってるよ。

 

記事は全体としてフェアなトーンで書かれていると思う。スキャンダラスにGREEを叩くわけでもなく、擦り寄って持ち上げるわけでもなく。ただ、最後の方で「健全化の努力してるからいいのではないか」みたいなトーンがやや甘い感じに見え、せっかくのフェアな雰囲気が壊れたような印象はある。

 

でも、繰り返すけど良記事。