深夜のタクシーで鍋と釜の話を聞く
「さっき中目黒まで行ったんだけどさぁ」
久しぶりにタクシーに乗ったら、運転手がタメ口で話しかけてきた。
「はぁ」
間抜けな返事を返すと、すぐに話を続けてきた。
「二人組の女の子なわけよ。ところがその片方がさ、オナベっつーの?男みたいなカッコしてるんだわ」
「へえ」
「男役?の方はさ、こーんなに髪が短くってさ」
「そうなんですか」
「世の中色んなのがいるよねぇ。俺も色んな客を乗せたけど、ああいうのは初めてだよ」
相づちを打つのに疲れて黙っていると、彼は話を切り替えた。
「そうそう、オカマはたくさん乗せたよ。新宿の方とかさ、朝5時くらいに流してると『助手席に乗せてくれない?』って言ってくるんだよ〜。参っちゃうよね。」
オナベ?の女の子は害がなさそうだけど、オカマさんを横に乗せるのは怖いだろうなぁ。